今回は、1986年製・2ワラントのBarbour Bedale。
まさに“ガチ”のヴィンテージです。



1986年製・2ワラントの個体状態
右肩には大きな破れ。
さらに両袖は折り返して着用されていたためか、袖口の折り目部分から裂けが生じています。


一方で、胴体部分――前身頃・後身頃は、まるでデッドストックかと思うほどコンディション良好。
約40年という年月を考えると、奇跡的とも言える状態です。
作業後に気づいたのですが、前面に小さなピンホールがひとつ。
こちらはあえて手を加えず、そのまま残すことにしました。
ヴィンテージとしての“表情”を消したくなかったからです。
作業メニュー
- オイル抜き
- 洗浄
- リペア
- リプルーフ(再オイル加工)
フルメンテナンスです。
オイル抜き・洗浄
まずは、40年分の汚れを丁寧に落とします。
生地の状態を見極めながら、細心の注意を払って作業。
しかし、水切りの工程で右肩の破れがさらに拡がってしまいました。
長年オイルが抜け、繊維が弱っている証拠です。
「早くオイルを戻してあげないと…」
そんな気持ちになりながら、慎重に乾燥させました。


リペア
乾燥完了後、いよいよ補修作業へ。
大きく破れた部分は、まずミシンで叩き縫いを施し、生地の強度を回復させます。
その上からオイルドコットンでパッチ補強。

今回のボディカラーはオリーブ。
パッチにはセージカラーのオイルドコットンを使用しました。


オイルが抜けた状態では色差が目立ちますが、最終工程でオイルが入ると自然に馴染み、違和感はほとんどなくなります。
ヴィンテージらしさを損なわず、実用強度を確保できました。
リプルーフ(再オイル)
最後はリプルーフ。

40年前のオイルドコットンが、まるで待っていたかのように新しいオイルを吸い込んでいきます。
乾ききっていた繊維が、再び潤いと防水性を取り戻す瞬間。
この工程は何度経験しても、特別な時間です。
完成
仕上がった姿は、
とても40年前のヴィンテージとは思えないコンディション。

ダメージは“消す”のではなく、“活かす”。
歴史を残しながら、これからも着られる一着へ。
1986年製・2ワラントのBedale。
また次のオーナーと、新しい時間を刻んでもらいたです。