時々漁師日和

M-65フィールドジャケットの袖破れをリペア|1972年製ヴィンテージ個体をシュプール95で修復

アメリカ軍を代表するフィールドジャケットであるM-65。

ミリタリーウェアの定番として長年愛されているモデルですが、実際に半世紀以上前に製造された個体となると、どこかしらにダメージを抱えていることも珍しくありません。

今回入手したM-65も両袖に大きな破れがあり、そのまま着用するには難しい状態でした。しかし、生地自体の状態は比較的良好で、ヴィンテージらしい雰囲気も十分に残っています。

そこで今回は袖部分を分解しながらリペアを行い、再び実用できる状態へと修復しました。

今回のM-65フィールドジャケットについて

まずは個体の詳細から紹介します。

襟元のラベルには、

COAT, COLD WEATHER, MAN’S, FIELD

の表記があります。

コントラクトナンバーは、

DSA100-72-C-○702

です。

DSA(Defense Supply Agency)表記のため、1972年コントラクトの個体であることが分かります。

製造メーカーは、

John Owney Co., Inc.

となっています。

M-65は1965年に採用され、その後1980年代まで長期間生産された軍用ジャケットですが、今回の個体はベトナム戦争期を代表する1970年代初頭のモデルです。

製造から50年以上が経過しているにもかかわらず、生地にはまだ十分な強度が残っており、アメリカ軍衣料の耐久性の高さを改めて感じさせます。

人気サイズのSMALL SHORT

サイズ表記は

SMALL SHORT

です。

ラベルには、

  • Height Up to 67 inches
  • Chest From 33 to 37 inches

と記載されています。

M-65の中でもSMALL SHORTは特に人気の高いサイズです。

日本人の体格に合わせやすく、現代的なシルエットでも着用しやすいため、古着市場でも常に需要があります。

近年はヴィンテージミリタリー人気の高まりもあり、このサイズを見つけること自体が以前より難しくなっています。

ジッパーは交換済み

今回の個体はヴィンテージM-65ですが、フロントジッパーはオリジナルではなく交換されているようです。

軍用品として長期間使用されてきた個体では珍しいことではなく、実際の運用やその後の民間使用の過程で修理されたものと思われます。

ヴィンテージ市場ではオリジナルパーツの有無が評価の対象になることもありますが、実際に着用するのであればスムーズに開閉できる状態の方が重要です。

このジャケットもジッパーの動作は良好で、日常使いにおいて不便を感じることはありません。

むしろ長い年月の中で修理を受けながら使われ続けてきた証として、この個体ならではの歴史を感じられる部分でもあります。

フードを取り外してスッキリさせる

M-65の特徴のひとつが襟内部に収納されたフードです。

本来は悪天候時に使用するための装備ですが、実際には使われることが少なく、収納されたままになっている個体がほとんどです。

私自身もこれまで一度も使用したことがありません。

個人的に気になっていたのは、収納されたフードによって首から背中にかけてボリュームが出てしまうことです。

背中側がモコモコと膨らみ、着用した際のシルエットがやや野暮ったく見えてしまいます。

そこで今回のリペア作業に合わせて収納フードを取り外しました。

フードを抜くことで首回りから背中にかけてのラインがすっきりし、着用時のシルエットもかなり改善されました。

後ろ姿も自然になり、個人的にはこちらの方が好みです。

オリジナル状態を重視する考え方もありますが、実際に着用することを考えると満足度の高いカスタムになりました。

両袖の破れをリペア

今回の最大の問題は両袖のダメージでした。

縫製部分が大きく裂けており、単なる糸切れではなく縫い代そのものが開いている状態です。

放置すると裂け目がさらに広がり、生地自体を傷める原因にもなるため、早めにリペアすることにしました。

一見すると表側から縫い直せそうに見えますが、M-65は裏地を含めた複雑な構造になっています。

そのため表面だけを縫ってしまうと不自然な仕上がりになってしまいます。

今回は袖を部分的に分解し、内部へアクセスできる状態を作ってから修理を行いました。

オリジナルは2本針縫製

分解して確認すると、袖部分は2本針による縫製で組み立てられていました。

軍用衣料らしく耐久性を重視した仕様です。

ただし今回のリペア箇所は構造上の制約があり、オリジナルと同じように2本針で縫製することができませんでした。

そのため1本のステッチでしっかりと縫い直しています。

見た目こそオリジナルとは異なりますが、縫製強度は十分に確保できており、実用上の問題はありません。

ヴィンテージウェアのリペアでは完全再現が理想ではありますが、実際には着用に耐える強度を優先することも重要です。

今回もオリジナルの雰囲気をできるだけ残しながら、長く着用できることを重視して修理を行いました。

使用したミシンはJUKI シュプール95

今回の作業にはJUKIの職業用ミシン「シュプール95」を使用しました。

厚手のコットンツイルを安定して縫うことができ、ヴィンテージミリタリーの補修にも非常に相性の良いミシンです。

M-65の生地は想像以上にしっかりしており、家庭用ミシンでは苦労する場面も少なくありません。

シュプール95は針の貫通力も十分で、重なった部分でも安定した縫製ができます。

リペア作業では縫い目の精度が仕上がりを左右しますが、その点でも安心して使える一台です。

リペア完了

リペア後は裂けていた部分も綺麗に閉じ、安心して着用できる状態になりました。

古い軍服はダメージがあるから価値がないのではなく、適切なメンテナンスを行うことで再び実用品として活躍できます。

今回のM-65も製造から半世紀以上が経過していますが、まだまだ現役です。

むしろこうして修理を重ねながら使われ続けていくことこそ、ヴィンテージウェアの魅力なのかもしれません。

定期的にメンテナンスを行いながら長く着用していこうと思います。

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