レザークラフトで愛用しているSEIKO TE-5腕ミシン

レザークラフトを続けていると、いつの間にか手放せなくなる道具があります。
革包丁や木槌、ヘリ落としなど、どれも大切な道具ですが、その中でも特に出番が多いのがSEIKOの腕ミシン「TE-5」です。
財布やバッグ、小物類など、私が製作する作品のほとんどに使っています。
最近は高性能なミシンも数多くありますが、私はいまでもTE-5を愛用しています。
今回は、レザークラフトを楽しむ一人として、なぜTE-5を使い続けているのか、普段どのようなセッティングで使っているのかをご紹介したいと思います。
TE-5を選んだきっかけ
私がTE-5を使い始めたのは、お師匠さんの勧めがきっかけでした。
レザークラフトを始めた頃は、どんなミシンが良いのかまったく分かりませんでした。
腕ミシンにもさまざまな種類があり、何を基準に選べばよいのか迷っていた時に、お師匠さんから「TE-5はいいミシンだよ」と教えていただいたのです。
実際に使い始めてみると、その言葉の意味がよく分かりました。
決して最新のミシンではありませんが、革を縫うために必要な性能をしっかり備えていて、長く使える安心感があります。
古い機械ならではの無骨さもありますが、それがまた魅力のひとつだと感じています。
ナショナル製モーターでゆっくり縫う
私のTE-5にはナショナル製のミシンモーターが付いています。

最近ではサーボモーターを使用する方も増えていますが、私は現在の組み合わせを気に入っています。
サーボモーターのような細かな速度制御はできませんが、フットコントローラーを丁寧に操作することで、一目一目ゆっくり縫い進めることができます。
革は一度針を通すと穴が残ります。
そのため、私はスピードよりも正確さを重視しています。
特に財布のコーナー部分やバッグの曲線部分では、一針ずつ確認しながら縫えることが大きな安心につながっています。
急がず、丁寧に縫う。
そんな製作スタイルに、このモーターはよく合っています。
私の定番セッティング
現在、主に使用しているのは#8の糸と#18の針です。
オルガン針 DBxF2 #18
ミシン糸 ビニモ #8/1000m
さまざまな組み合わせを試してきましたが、今はこの組み合わせに落ち着いています。
太すぎず細すぎず、財布やバッグにちょうど良い存在感のあるステッチになります。
革製品は縫い目そのものがデザインの一部です。
そのため、強度だけでなく見た目のバランスも大切にしています。
私にとって#8糸と#18針は、見た目と実用性の両方を満たしてくれる組み合わせです。
DB×F2で手縫いのような表情を楽しむ
針はDB×F2を愛用しています。
この針を使う理由は、縫い目の表情が好きだからです。
革に開く穴が少し斜めになるため、完成したステッチにも自然な流れが生まれます。
もちろん本当の手縫いとは違いますが、どこか手縫いを思わせる雰囲気があります。
ミシンを使う以上、効率は大切です。
しかし、私はできるだけ手仕事の温かみも残したいと思っています。
DB×F2はそんな希望を叶えてくれるお気に入りの針です。
作品をご覧になった方から「手縫いですか?」と聞かれることもあり、そのたびに少しうれしくなります。
半回転釜の縫い目が好き
TE-5の特徴のひとつが半回転釜です。

現在は全回転釜のミシンが主流ですが、私はこの半回転釜にも大きな魅力を感じています。
その理由は糸締まりの良さです。
レザークラフトでは縫い目の美しさが作品全体の印象を左右します。
TE-5で縫ったステッチは糸がしっかり締まり、革の表と裏でバランス良く仕上がります。
特に私が使用している#8糸との組み合わせでは、縫い目に適度な立体感が生まれ、革製品らしい力強さを感じます。
もちろんミシンの調整や糸調子も重要ですが、半回転釜ならではの糸締まりの良さはTE-5の大きな魅力だと思っています。
派手な性能ではありませんが、完成した作品を見るたびに「この縫い目が好きだな」と感じます。
送り歯の跡との付き合い方

TE-5は下送り方式のミシンです。
そのため、革の裏面には送り歯の跡が付くことがあります。
この点を気にされる方もいるかもしれません。
確かに最初の頃は私も少し気になりました。
ですが、今ではそれも革製品の表情のひとつだと思っています。
天然皮革には傷やシワがあります。
送り歯の跡もまた、その作品が作られた証のように感じるのです。
もちろん作品によっては跡をできるだけ残したくない場合もあります。
そんな時は自作したゴム送りを使用しています。

革用ミシンのTE系は、縫い目の美しさでは非常に優秀だと思っています。 特に17ミシン系の垂直半回転釜は糸締まりが良く、縫い上がりも抜群です。 しかしTE-5は下送りのため、ヌメ革を縫うと送り歯の跡がはっきり残ってしまい[…]
革への当たりが柔らかくなるため、送り歯の跡をかなり軽減できます。
作品に合わせて工夫しながら使えるところも、古い工業用ミシンの面白さではないでしょうか。
長く使いたい一台
TE-5は決して最新のミシンではありません。
便利な機能がたくさん付いているわけでもありません。
それでも私はこのミシンが気に入っています。
お師匠さんの勧めで使い始め、少しずつ自分なりの使い方を見つけてきました。
#8の糸、#18の針、DB×F2、そして半回転釜による糸締まりの良いステッチ。
どれも私の作品づくりには欠かせない要素になっています。
これからも定期的にメンテナンスをしながら、財布やバッグ、小物づくりを楽しんでいきたいと思います。
もしTE-5に興味を持っている方や、これから腕ミシンを検討している方がいれば、この記事が少しでも参考になればうれしいです。
